問1IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の特徴を説明したものとして、最も適切なものはどれか。
- aゲート信号でオンにはできるがオフにはできない素子であり、電流を零にして消弧するための転流回路を外部に別に設ける必要がある。
- bpn接合を一つだけもつ2端子素子であり、ゲートをもたず、順方向にのみ電流を流す整流作用によってスイッチングを行う。
- c絶縁ゲートによる電圧駆動形であるためゲート駆動電力が小さく、かつ伝導度変調によって低いオン電圧が得られる自己消弧形素子である。
- d電流駆動形の素子であり、オン状態を維持するために大きなベース電流を流し続ける必要があるため、駆動回路の損失が大きくなる。
答えと解説を見る
正解:c. 絶縁ゲートによる電圧駆動形であるためゲート駆動電力が小さく、かつ伝導度変調によって低いオン電圧が得られる自己消弧形素子である。
IGBTはMOSFETの絶縁ゲート構造とバイポーラトランジスタの出力構造を組み合わせた3端子の自己消弧形素子で、ゲート電圧で制御できるため駆動電力が小さく、伝導度変調により大電流でもオン電圧が低い。オン維持にベース電流が必要とする記述はバイポーラトランジスタの性質であり誤り。ゲートでオフできず転流回路を要するとする記述は逆阻止三端子サイリスタの性質で、自己消弧形のIGBTには当てはまらない。pn接合一つの2端子素子はダイオードの説明であり、IGBTの構造とは異なるため誤り。
この問題のページ:IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の特徴を説明し… →
問2単相ブリッジ全波整流回路に実効値200Vの正弦波交流電圧を加え、抵抗負荷に電力を供給する。負荷端子電圧の平均値[V]として最も近い値はどれか。
- a270
- b200
- c90.0
- d180
答えと解説を見る
正解:d. 180
単相全波整流(抵抗負荷)の出力平均電圧は Vd = 2√2V/π = 0.900V である。V = 200 V を代入すると Vd = 0.900 × 200 = 180 V となる。90.0 V は 0.450V すなわち単相半波整流の平均電圧であり、全波整流はその2倍になるので誤り。200 V は交流の実効値そのままの値で、平均値ではないため誤り。270 V は 1.35 × 200 で三相ブリッジ整流回路に線間電圧200Vを加えた場合の値であり、単相回路では得られないため誤り。
この問題のページ:単相ブリッジ全波整流回路に実効値200Vの正弦波交流電圧を… →
問3三相ブリッジ(三相全波)整流回路に線間電圧の実効値が200Vの三相交流を加え、抵抗負荷に電力を供給する。直流出力電圧の平均値[V]として最も近い値はどれか。
- a234
- b180
- c270
- d283
答えと解説を見る
正解:c. 270
三相ブリッジ整流回路の出力平均電圧は Vd = 3√2V/π = 1.35V(Vは線間電圧の実効値)で表される。Vd = 1.35 × 200 = 270 V となる。180 V は 0.900 × 200 で単相全波整流の値であり、三相回路の値ではないため誤り。234 V は 1.17 × 200 であり、これは三相半波整流回路に相電圧200Vを加えた場合の値なので誤り。283 V は √2 × 200 で線間電圧の最大値であり、脈動する波形の平均値ではないため誤り。
この問題のページ:三相ブリッジ(三相全波)整流回路に線間電圧の実効値が200… →
問4直流電圧200Vの電源に降圧チョッパを接続し、スイッチング周波数5kHz、1周期あたりのオン時間120μsで動作させた。負荷端子電圧の平均値[V]として最も近い値はどれか。ただし、素子は理想的とする。
- a200
- b160
- c120
- d80.0
答えと解説を見る
正解:c. 120
スイッチング周波数5kHzより周期は T = 1/5000 = 200 μs。通流率は D = 120/200 = 0.6 となる。降圧チョッパの出力平均電圧は Vo = D×Vi = 0.6 × 200 = 120 V である。80.0 V はオフ期間の比 0.4 を掛けた値で、降圧チョッパの出力はオン期間の比に比例するため誤り。160 V は通流率を0.8と誤ったときの値で、周期の計算が合わない。200 V は入力電圧そのもので、これは通流率がときの値であるため誤り。
この問題のページ:直流電圧200Vの電源に降圧チョッパを接続し、スイッチング… →
問5直流電圧100Vの電源に昇圧チョッパを接続し、通流率0.6で連続導通モードにて動作させた。出力電圧の平均値[V]として最も近い値はどれか。ただし、素子は理想的で出力電圧のリプルは無視できるものとする。
- a400
- b160
- c60.0
- d250
答えと解説を見る
正解:d. 250
昇圧チョッパの出力電圧は Vo = Vi/(1−D) で与えられる。Vi = 100 V、D = 0.6 を代入すると Vo = 100/(1−0.6) = 100/0.4 = 250 V となる。60.0 V は D×Vi であり降圧チョッパの関係式を適用した値なので誤り。160 V は (1+D)Vi として求めた値で、昇圧チョッパの入出力関係とは一致しないため誤り。400 V は Vi/(1−D) の分母を 0.25 と誤った場合などの値で、通流率0.6には対応しないため誤り。
この問題のページ:直流電圧100Vの電源に昇圧チョッパを接続し、通流率0.6… →
問6逆阻止三端子サイリスタに関する記述として、誤っているものはどれか。
- aオン状態にあるとき、ゲート電流を切ることによって任意の時点でターンオフさせることができる。
- bいったんターンオンすると、ゲート電流を零にしても主電流が保持電流以下にならない限りオン状態を保つ。
- cアノード・カソード間に順電圧が加わっている状態でゲートに電流を流すとターンオンする。
- dカソードに対してアノードが負となる逆電圧に対しては、電流を阻止する能力をもつ。
答えと解説を見る
正解:a. オン状態にあるとき、ゲート電流を切ることによって任意の時点でターンオフさせることができる。
逆阻止三端子サイリスタは自己消弧能力をもたないため、ゲート電流を切ってもターンオフせず、主電流を保持電流以下にする転流動作が必要である。したがってゲート電流を切って任意にターンオフできるとする記述が誤り。順電圧が加わった状態でゲート電流によりターンオンすること、いったん点弧すればゲートを外してもオン状態を保持すること、逆電圧に対して阻止能力をもつことは、いずれも逆阻止三端子サイリスタの正しい性質である。
この問題のページ:逆阻止三端子サイリスタに関する記述として →
問7インバータのPWM(パルス幅変調)制御に関する記述として、誤っているものはどれか。
- a搬送波周波数を高くすると出力電流の高調波は減少するが、スイッチング損失は増加する。
- b出力電圧の大きさを変えるには直流電源電圧そのものを可変にする必要があり、パルス幅の調整では変えられない。
- c三角波の搬送波と正弦波の信号波を比較し、その大小関係によってスイッチング素子のオン・オフを決める方式が広く用いられる。
- d直流電源電圧が一定であっても、パルス幅を変えることで出力電圧の基本波実効値を連続的に調整できる。
答えと解説を見る
正解:b. 出力電圧の大きさを変えるには直流電源電圧そのものを可変にする必要があり、パルス幅の調整では変えられない。
PWM制御の最大の利点は、直流電源電圧を一定に保ったままパルス幅(変調率)の調整だけで出力電圧の基本波の大きさを制御できることである。したがって直流電源電圧を可変にしなければ出力電圧を変えられないとする記述が誤りで、これは方形波インバータのPAM制御の説明にあたる。三角波搬送波と正弦波信号波の比較による方式は正弦波比較PWMの標準的手法であり正しい。搬送波周波数を高くすると出力波形は正弦波に近づき高調波は減るが、単位時間当たりのスイッチング回数が増えて損失が増加するのも正しい。
この問題のページ:インバータのPWM(パルス幅変調)制御に関する記述として →
問8サイクロコンバータの説明として、最も適切なものはどれか。
- a直流電圧を高い直流電圧に変換する装置であり、リアクトルに蓄えたエネルギーを利用する。
- b直流を交流に変換する装置であり、出力周波数は制御回路によって自由に設定できる。
- c交流を直流に変換する過程を経ずに、直接、電源周波数より低い周波数の交流に変換する装置である。
- d交流を直流に変換する装置であり、サイリスタの点弧位相を変えて直流電圧を制御する。
答えと解説を見る
正解:c. 交流を直流に変換する過程を経ずに、直接、電源周波数より低い周波数の交流に変換する装置である。
サイクロコンバータは交流から交流へ直接変換する周波数変換装置で、直流に変換する中間段(直流リンク)をもたない。電源電圧による転流を利用するため、出力周波数は電源周波数より低い範囲に限られ、大容量低速機の駆動などに用いられる。直流を交流に変換する装置はインバータの説明であるため誤り。交流を直流に変換して点弧位相で電圧制御する装置は位相制御整流回路の説明であり誤り。直流電圧を昇圧する装置は昇圧チョッパの説明で、交流変換装置ではないため誤り。
この問題のページ:サイクロコンバータの説明として →
問9誘導性負荷を駆動するチョッパ回路において、負荷と並列に接続される還流ダイオード(フリーホイールダイオード)の主な役割として、最も適切なものはどれか。
- aスイッチのオン期間に電源から負荷へ流れる突入電流をダイオードの順電圧降下によって制限し、スイッチング素子に過大な過電流が流れるのを防止する。
- bスイッチがオフした直後に、負荷のインダクタンスに蓄えられたエネルギーによる電流の通路を確保し、スイッチに過大なサージ電圧が加わるのを防ぐ。
- c交流電源の負の半周期にも負荷へ電流を流すことで、出力電圧を半波整流波形から全波整流波形に変え、出力電圧の平均値を高める働きをする。
- dオフ期間に負荷電流を強制的に遮断して電流の脈動を意図的に大きくし、通流率に対する平均電流の変化を急峻にして制御範囲を広げる。
答えと解説を見る
正解:b. スイッチがオフした直後に、負荷のインダクタンスに蓄えられたエネルギーによる電流の通路を確保し、スイッチに過大なサージ電圧が加わるのを防ぐ。
インダクタンスを含む負荷では電流は急変できないため、スイッチがオフになると電流の行き場を失って大きな逆起電力(サージ電圧)が発生する。還流ダイオードはこの電流を負荷内で循環させる通路を与え、素子の破壊を防ぐとともに負荷電流を平滑化する。突入電流の制限は限流リアクトルなどの役割であり、ダイオードの機能ではないため誤り。脈動を大きくするという記述は実際には脈動を小さくする働きをするので誤り。負の半周期に電流を流して全波整流にするのは整流回路のダイオードの説明であり、直流チョッパの還流ダイオードとは役割が異なるため誤り。
この問題のページ:誘導性負荷を駆動するチョッパ回路において、負荷と並列に接続… →
問10整流回路の出力電圧に含まれる脈動(リプル)の基本周波数に関する記述として、誤っているものはどれか。ただし、いずれもダイオードによる無制御整流回路とする。
- a単相全波整流回路では、電源周波数の2倍である。
- b三相全波(ブリッジ)整流回路では、電源周波数の6倍である。
- c三相半波整流回路では、電源周波数の3倍である。
- d単相半波整流回路では、電源周波数の2倍である。
答えと解説を見る
正解:d. 単相半波整流回路では、電源周波数の2倍である。
整流回路の脈動周波数は、電源1周期の間に出力波形が繰り返す回数(整流相数)に電源周波数を掛けた値になる。単相半波整流では電源1周期に1回しか出力パルスが現れないため脈動周波数は電源周波数と等しく1倍であり、2倍とする記述が誤り。単相全波は1周期に2回で2倍、三相半波は3個のダイオードが順に120°ずつ導通するため3倍、三相ブリッジは1周期に6回の脈動が生じるため6倍となり、これらはいずれも正しい。
この問題のページ:整流回路の出力電圧に含まれる脈動(リプル)の基本周波数に関… →
問11次のパワー半導体デバイスのうち、一般にスイッチング周波数を最も高くできるものはどれか。
- a逆阻止三端子サイリスタ
- bGTOサイリスタ
- cパワーMOSFET
- dIGBT
答えと解説を見る
正解:c. パワーMOSFET
パワーMOSFETは多数キャリヤのみで動作するユニポーラ素子であり、少数キャリヤの蓄積による遅れがないため、ここに挙げた素子の中で最も高速なスイッチングが可能で、数百kHz程度まで使用される。逆阻止三端子サイリスタは自己消弧できず転流に時間を要するため最も低速であり誤り。GTOサイリスタは自己消弧できるがターンオフ時間が長く、数kHz程度が限度であるため誤り。IGBTはMOSFETより低速で、テール電流のため数十kHz程度が実用範囲であり、MOSFETには及ばないため誤り。
この問題のページ:次のパワー半導体デバイスのうち、一般にスイッチング周波数を… →
問12昇降圧チョッパ回路に直流電圧200Vを加え、通流率0.4で連続導通モードにて動作させた。出力電圧の大きさ[V]として最も近い値はどれか。ただし、素子は理想的とする。
- a80.0
- b300
- c500
- d133
答えと解説を見る
正解:d. 133
昇降圧チョッパの入出力関係は Vo = {D/(1−D)}·Vi である。Vi = 200 V、D = 0.4 を代入すると Vo = 200 × 0.4/0.6 = 200 × 0.667 = 133 V となる。80.0 V は D×Vi であり降圧チョッパの式を適用した値なので誤り。300 V は (1−D)/D の逆数関係を取り違え Vi×0.6/0.4 とした値であり、通流率0.4では昇圧側にならないため誤り。500 V は Vi/(1−D) で昇圧チョッパの式を用いた値であり、昇降圧チョッパの関係式とは異なるため誤り。
この問題のページ:昇降圧チョッパ回路に直流電圧200Vを加え、通流率0.4で… →
問13電圧形インバータと電流形インバータに関する記述として、誤っているものはどれか。
- a電流形インバータでは、直流側に大容量の平滑コンデンサを接続して直流電圧を一定に保つ。
- b電圧形インバータでは、誘導性負荷の電流を還流させるため、各スイッチング素子に逆並列にダイオードを接続する。
- c電流形インバータでは、直流側に大きなインダクタンスのリアクトルを接続して直流電流を一定に保つ。
- d電圧形インバータでは、直流側に平滑コンデンサを接続して直流電圧を一定に保つ。
答えと解説を見る
正解:a. 電流形インバータでは、直流側に大容量の平滑コンデンサを接続して直流電圧を一定に保つ。
電流形インバータは直流側を定電流源とみなせるように大きなリアクトルを直列に挿入する方式であり、大容量の平滑コンデンサで直流電圧を一定に保つとする記述は電圧形インバータの構成を述べたものなので誤り。電圧形インバータが直流側に平滑コンデンサをもち定電圧源として動作すること、誘導性負荷の遅れ電流や回生電流を流すために各素子へ逆並列(帰還)ダイオードを接続すること、電流形が直流リアクトルで直流電流を平滑化することは、いずれも正しい記述である。
この問題のページ:電圧形インバータと電流形インバータに関する記述として →
問14インバータを用いて三相かご形誘導電動機を可変速駆動する際に、出力電圧と出力周波数の比を一定に保つ制御(V/f一定制御)を行う主な理由として、最も適切なものはどれか。
- a周波数を変えても固定子巻線の鎖交磁束をほぼ一定に保ち、発生トルクの能力を確保するため。
- b回転子導体の抵抗値を一定に保ち、二次銅損を周波数によらず一定にするため。
- c電動機のすべりを常に零に保ち、同期速度で運転させるため。
- d電源側から見た力率を常に1に保ち、無効電力の発生をなくすため。
答えと解説を見る
正解:a. 周波数を変えても固定子巻線の鎖交磁束をほぼ一定に保ち、発生トルクの能力を確保するため。
誘導電動機の磁束は電圧を周波数で割った値にほぼ比例するため、周波数だけを下げると磁束が過大となり磁気飽和や過励磁電流を招く。V/fを一定にすれば磁束が一定に保たれ、広い速度範囲で定格トルクを出せる。すべりを零にするという記述は、誘導電動機がすべりなしではトルクを発生できないため誤り。力率を1に保つのはインバータ出力電圧と周波数の比では決まらず、負荷条件で変化するため誤り。回転子導体の抵抗は材料と温度で決まる量で、V/f制御によって一定に保つものではないため誤り。
この問題のページ:インバータを用いて三相かご形誘導電動機を可変速駆動する際に… →
問15降圧チョッパ回路において、入力直流電圧100V、出力平均電圧50V、スイッチング周波数10kHz、平滑リアクトルのインダクタンス1mHで連続導通モード運転をしている。リアクトル電流のリプル(最大値と最小値の差)[A]として最も近い値はどれか。ただし、出力電圧のリプルは無視できるものとする。
- a5.00
- b10.0
- c2.50
- d1.25
答えと解説を見る
正解:c. 2.50
通流率は D = Vo/Vi = 50/100 = 0.5、周期は T = 1/(10×10³) = 100 μs なのでオン時間 Ton = 50 μs。オン期間中リアクトルには Vi−Vo = 100−50 = 50 V が加わり、ΔI = (Vi−Vo)Ton/L = 50 × 50×10⁻⁶ / (1×10⁻³) = 2.50 A となる。1.25 A はオン時間を25μsとした場合の値で周期の計算が合わないため誤り。5.00 A はリアクトルに100Vが加わるとした値で、出力電圧分を差し引いていないため誤り。10.0 A はさらにオン時間を1周期分としたもので、実際の2倍以上となり誤り。
この問題のページ:降圧チョッパ回路において、入力直流電圧100V、出力平均電… →
問16パワー半導体デバイスに関する記述として、誤っているものはどれか。
- aパワーMOSFETは電流駆動形の素子であり、オン状態を維持するためゲートに連続的に大きな電流を流し続ける必要がある。
- bGTOサイリスタは、ゲートに大きな逆方向電流を流すことによってターンオフさせることができる。
- cIGBTは、ゲート部にMOSFET構造、出力部にバイポーラトランジスタ構造をもつ複合的な素子である。
- dダイオードは2端子素子で、順方向にのみ電流を流し逆方向の電流を阻止する。
答えと解説を見る
正解:a. パワーMOSFETは電流駆動形の素子であり、オン状態を維持するためゲートに連続的に大きな電流を流し続ける必要がある。
パワーMOSFETは絶縁ゲートをもつ電圧駆動形素子で、ゲート・ソース間に電圧を加えるだけで導通が維持でき、定常状態のゲート電流はほぼ零である。したがって電流駆動形で連続的な大電流を要するとする記述が誤り。ダイオードが順方向のみ導通する2端子素子であること、GTOサイリスタがゲートに逆方向電流を流して自己消弧できること、IGBTがMOSFET構造とバイポーラ構造を組み合わせた素子であることは、いずれも正しい記述である。
この問題のページ:パワー半導体デバイスに関する記述として →
問17三相ブリッジ(三相全波)整流回路の動作に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、転流の重なりは無視し、負荷電流は連続しているものとする。
- a各ダイオードの導通期間は電源電圧の1周期あたり180°であり、常に3個のダイオードが同時に導通して負荷に電流を供給する。
- b各ダイオードの導通期間は電源電圧の1周期あたり60°であり、常に1個のダイオードだけが導通して負荷に電流を供給する。
- c各ダイオードの導通期間は電源電圧の1周期あたり360°であり、6個すべてが常時導通して負荷に電流を供給する。
- d各ダイオードの導通期間は電源電圧の1周期あたり120°であり、常に2個のダイオードが同時に導通して負荷に電流を供給する。
答えと解説を見る
正解:d. 各ダイオードの導通期間は電源電圧の1周期あたり120°であり、常に2個のダイオードが同時に導通して負荷に電流を供給する。
三相ブリッジ整流回路では、上側3個のうち最も電位の高い相に接続されたものと、下側3個のうち最も電位の低い相に接続されたものが導通するため、常に2個が同時に導通する。各ダイオードは1周期のうち120°の期間導通し、60°ごとに導通する組合せが切り替わるので出力脈動は電源周波数の6倍になる。導通期間180°で3個同時導通とする記述、60°で1個のみとする記述、6個すべてが常時導通とする記述は、いずれもこの転流動作と一致しないため誤りである。
この問題のページ:三相ブリッジ(三相全波)整流回路の動作に関する記述として、… →
問18直流電圧200Vの電源に接続された単相フルブリッジPWMインバータを、正弦波比較PWMの線形変調領域において振幅変調率0.80で運転した。出力電圧の基本波成分の実効値[V]として最も近い値はどれか。
- a160
- b141
- c113
- d80.0
答えと解説を見る
正解:c. 113
単相フルブリッジインバータの出力電圧は ±E に振れ、線形変調領域では基本波の最大値が a·E(a は振幅変調率)となる。よって基本波の実効値は a·E/√2 = 0.80 × 200/1.414 = 113 V である。160 V は a·E で求めた基本波の最大値であり、実効値ではないため誤り。141 V は E/√2 で変調率ときの値に相当し、変調率0.80が反映されていないため誤り。80.0 V は a·E/2 に相当し、フルブリッジではなくハーフブリッジの関係を用いた値なので誤り。
この問題のページ:直流電圧200Vの電源に接続された単相フルブリッジPWMイ… →
問19自己消弧形素子を用いたPWM整流回路(PWMコンバータ)の特徴に関する記述として、誤っているものはどれか。
- a交流側電流を正弦波に近づけることができ、電源に流出する高調波電流を低減できる。
- b交流側電流の位相を制御することにより、電源側の力率をほぼ1に保つことができる。
- cダイオード整流回路に比べて回路構成が簡単であり、スイッチング素子や制御回路を必要としない。
- d直流側から交流電源側へ電力を返す回生運転が可能である。
答えと解説を見る
正解:c. ダイオード整流回路に比べて回路構成が簡単であり、スイッチング素子や制御回路を必要としない。
PWMコンバータは自己消弧形素子をPWM制御して交流電流波形を作る方式であり、素子数も制御回路もダイオード整流回路より多く複雑になる。したがって素子や制御回路を必要とせず構成が簡単とする記述が誤り。交流電流を正弦波状に制御できるため高調波を大幅に低減できること、電流位相の制御によって力率をほぼ1にできること、電流の向きを反転させて直流側から交流側へ電力を戻す回生運転ができることは、いずれもPWMコンバータの正しい特徴である。
この問題のページ:自己消弧形素子を用いたPWM整流回路(PWMコンバータ)の… →
問20電力変換装置の転流方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- a交流電源電圧の極性変化を利用して転流を行う方式を自励式といい、IGBTを用いたPWMインバータがこれに該当する。
- b交流電源電圧の極性変化を利用して転流を行う方式を他励式といい、サイリスタを用いた位相制御整流回路がこれに該当する。
- c自励式変換装置は、転流のために必ず交流電源電圧の極性反転を必要とする。
- d他励式変換装置は自己消弧形素子を必須とし、交流電源が存在しなくても単独で転流できる。
答えと解説を見る
正解:b. 交流電源電圧の極性変化を利用して転流を行う方式を他励式といい、サイリスタを用いた位相制御整流回路がこれに該当する。
他励式(電源転流形)は交流電源電圧の極性変化によって素子の電流を零にして転流する方式で、自己消弧能力のないサイリスタを用いた位相制御整流回路が代表例である。一方、自励式は自己消弧形素子を用い、外部の交流電源によらず制御信号だけで転流できる方式で、IGBTによるPWMインバータが該当する。したがって、電源転流を自励式と呼ぶ記述、他励式が自己消弧形素子を必須とし電源なしで転流できるとする記述、自励式が電源電圧の極性反転を必要とする記述は、いずれも他励式と自励式の定義を取り違えており誤りである。
この問題のページ:電力変換装置の転流方式に関する記述として →
問21直流電源とチョッパで直流電動機を駆動している装置において、電動機の運動エネルギーを電源に戻す回生制動を行う方法として、最も適切なものはどれか。
- a電機子回路が昇圧チョッパとして働くようにスイッチングし、電動機の逆起電力による電力を電源電圧より高い側へ押し上げて電源に返す。
- bチョッパの通流率を1に固定して電動機に電源電圧を全て加え続け、回転速度を上げることで運動エネルギーを電源側へ戻す。
- c還流ダイオードを回路から切り離したうえで電機子電流を強制的に遮断し、そのとき生じるサージ電圧を電源へ送り返す。
- d電機子回路に直列に制動抵抗を挿入し、発電状態で生じた電力をその抵抗で熱として消費させることで電源に回生する。
答えと解説を見る
正解:a. 電機子回路が昇圧チョッパとして働くようにスイッチングし、電動機の逆起電力による電力を電源電圧より高い側へ押し上げて電源に返す。
回生制動では電動機が発電機として働くが、その逆起電力は減速に伴い電源電圧より低くなるため、そのままでは電源へ電流を流せない。電機子側を入力とする昇圧チョッパ動作をさせて電圧を電源電圧より高くすることで、電力を電源へ返すことができる。還流ダイオードを外して電流を遮断する方法は過大なサージ電圧を生じ制動にもならないため誤り。通流率を1に固定するのは全電圧で力行させる状態であり制動にならないため誤り。抵抗で熱消費させるのは発電制動(抵抗制動)であって、電源にエネルギーを返す回生制動ではないため誤り。
この問題のページ:直流電源とチョッパで直流電動機を駆動している装置において、… →
問22単相ブリッジ全波整流回路に実効値200Vの正弦波交流電圧を加えたとき、非導通状態のダイオード1個に加わる逆方向電圧の最大値[V]として最も近い値はどれか。ただし、ダイオードは理想的で、電源インピーダンスは無視できるものとする。
- a200
- b566
- c283
- d141
答えと解説を見る
正解:c. 283
単相ブリッジ整流回路では、非導通のダイオードには電源電圧の瞬時値がそのまま逆方向に加わるため、その最大値は電源電圧の最大値に等しく √2 × 200 = 283 V となる。141 V は √2 × 100 に相当し、電源電圧の半分を用いた値であるため誤り。200 V は実効値そのままの値で、逆電圧のピーク値ではないため誤り。566 V は 2√2V であり、これは中間タップ(センタタップ)形単相全波整流回路で二次巻線全体の電圧が加わる場合の値で、ブリッジ形では生じないため誤り。
この問題のページ:単相ブリッジ全波整流回路に実効値200Vの正弦波交流電圧を… →
問23質量 1500 kg の荷を毎秒 0.5 m の速度で鉛直に巻き上げる巻上機がある。巻上機の効率を 75 %、重力加速度を 9.8 m/s² とするとき、電動機に必要な出力の値[kW]として最も近いものはどれか。
- a11.0 kW
- b13.1 kW
- c7.35 kW
- d9.80 kW
答えと解説を見る
正解:d. 9.80 kW
巻上機の所要出力は P=mgv/η で求める。mg=1500×9.8=14700 N、これに速度を掛けた 14700×0.5=7350 W が荷を持ち上げるのに必要な機械動力である。これを効率 0.75 で除して P=7350/0.75=9800 W=9.80 kW となる。7.35 kW とするのは効率を考慮せず損失分を無視した理論値であり所要出力ではないため誤り。11.0 kW は効率を約 0.67、13.1 kW は約 0.56 として計算した場合に相当し、与えられた効率 75 % と一致しないため誤りである。
この問題のページ:質量 1500 kg の荷を毎秒 0.5 m の速度で鉛直… →
問24全揚程 20 m、揚水量 0.5 m³/s のポンプを電動機で駆動する。ポンプの効率を 80 %、水の密度を 1000 kg/m³、重力加速度を 9.8 m/s² とするとき、電動機に必要な出力の値[kW]として最も近いものはどれか。
- a156.8 kW
- b98.0 kW
- c122.5 kW
- d78.4 kW
答えと解説を見る
正解:c. 122.5 kW
ポンプの所要出力は P=ρgQH/η で表される。水に与える理論水動力は 1000×9.8×0.5×20=98000 W=98.0 kW であり、これをポンプ効率 0.8 で除して P=98.0/0.8=122.5 kW となる。98.0 kW は効率を考慮していない理論水動力そのものであり、電動機に必要な出力ではないため誤り。78.4 kW は効率で除さずに掛けてしまった値、156.8 kW は効率を 0.625 として計算した値に相当し、いずれも条件と合わないため誤りである。
この問題のページ:全揚程 20 m、揚水量 0.5 m³/s のポンプを電動… →
問25毎分 1200 kg の材料を高さ 10 m だけ持ち上げる傾斜コンベヤがある。摩擦などの損失を含めた効率を 80 %、重力加速度を 9.8 m/s² とするとき、駆動電動機に必要な出力の値[kW]として最も近いものはどれか。
- a1.96 kW
- b2.45 kW
- c3.27 kW
- d4.90 kW
答えと解説を見る
正解:b. 2.45 kW
毎分 1200 kg は毎秒 1200/60=20 kg である。1 秒間に 20 kg を 10 m 持ち上げる仕事率は 20×9.8×10=1960 W となり、これが必要な機械動力である。効率 0.8 で除して P=1960/0.8=2450 W=2.45 kW を得る。1.96 kW は効率を無視した理論値であり所要出力ではないため誤り。3.27 kW は効率を 0.6、4.90 kW は効率を 0.4 として計算した場合に相当し、与えられた効率 80 % と一致しないため誤りである。
この問題のページ:毎分 1200 kg の材料を高さ 10 m だけ持ち上げ… →
問26慣性モーメント 50 kg·m² のはずみ車が回転している。回転速度が 600 min⁻¹ から 540 min⁻¹ まで低下する間にはずみ車が放出するエネルギーの値[kJ]として最も近いものはどれか。
- a18.8 kJ
- b12.5 kJ
- c15.6 kJ
- d9.38 kJ
答えと解説を見る
正解:a. 18.8 kJ
角速度は ω=2πN/60 で求まり、600 min⁻¹ では 62.8 rad/s、540 min⁻¹ では 56.5 rad/s である。放出エネルギーは回転運動エネルギーの差 ΔE=½J(ω1²−ω2²)=½×50×(3948−3198)=25×750≒1.88×10⁴ J=18.8 kJ となる。9.38 kJ は係数 ½ を重ねて掛けた値、12.5 kJ と 15.6 kJ は角速度の差の二乗を用いるなど二乗の差の扱いを誤った値であり、上式による正しい計算値と一致しないため誤りである。
この問題のページ:慣性モーメント 50 kg·m² のはずみ車が回転している… →
問27電動機に取り付けるはずみ車に関する記述として、誤っているものはどれか。
- aはずみ車が放出できるエネルギーは、許容できる回転速度の変動幅が広いほど大きくなる。
- bプレス機や圧延機のように負荷が周期的に大きく変動する用途に用いられ、電源側から見た負荷の変動も緩和される。
- c回転体の慣性モーメントを大きくして運動エネルギーを蓄え、負荷の急変時にエネルギーを吸収・放出することで電動機の負荷変動を平準化する。
- dはずみ車を取り付けると回転体に蓄えられるエネルギーが増えるため、電動機の始動から定格速度に達するまでの時間は短くなる。
答えと解説を見る
正解:d. はずみ車を取り付けると回転体に蓄えられるエネルギーが増えるため、電動機の始動から定格速度に達するまでの時間は短くなる。
はずみ車は慣性モーメントを増して運動エネルギーを蓄え、負荷が急増したときに放出、軽いときに吸収することで電動機と電源から見た負荷変動を平準化する装置である。放出できるエネルギーは ½J(ω1²−ω2²) であり、許容する速度変動幅が広いほど大きい。プレス機や圧延機など周期的な衝撃負荷に適用される。一方、慣性モーメントが増加する分だけ加速に要するトルク・時間は増えるので、始動時間が短くなるとする記述は実際と逆であり誤りである。
この問題のページ:電動機に取り付けるはずみ車に関する記述として →
問28電動機と負荷を合わせた慣性モーメントが 20 kg·m² の回転体を、静止状態から 300 min⁻¹ まで 5 s で一様に加速したい。負荷トルクを無視できるとき、必要な加速トルクの値[N·m]として最も近いものはどれか。
- a126 N·m
- b94.2 N·m
- c251 N·m
- d62.8 N·m
答えと解説を見る
正解:a. 126 N·m
到達角速度は ω=2π×300/60=31.4 rad/s である。一様加速では角加速度が ω/t=31.4/5=6.28 rad/s² となるので、必要トルクは T=Jω/t=20×31.4/5≒126 N·m と求まる。62.8 N·m は慣性モーメントを半分の 10 kg·m² とした場合、251 N·m は 2 倍の 40 kg·m² とした場合に相当する。94.2 N·m は到達速度を 225 min⁻¹ とした場合の値に相当し、いずれも与えられた条件と一致しないため誤りである。
この問題のページ:電動機と負荷を合わせた慣性モーメントが 20 kg·m² … →
問29回転速度 1500 min⁻¹ で出力 15 kW を発生している電動機の軸トルクの値[N·m]として最も近いものはどれか。
- a143 N·m
- b95.5 N·m
- c63.7 N·m
- d191 N·m
答えと解説を見る
正解:b. 95.5 N·m
回転体の機械出力は P=ωT で表され、角速度は ω=2πN/60=2π×1500/60≒157 rad/s である。したがってトルクは T=P/ω=15000/157≒95.5 N·m となる。63.7 N·m は回転速度を 2250 min⁻¹、143 N·m は 1000 min⁻¹、191 N·m は 750 min⁻¹ としたときのトルクに相当する値であり、いずれも与えられた 1500 min⁻¹ という条件と一致しないため誤りである。
この問題のページ:回転速度 1500 min⁻¹ で出力 15 kW を発生… →
問30電動機で駆動される機械負荷のトルク特性に関する記述として、誤っているものはどれか。
- a送風機やポンプは定トルク負荷であり、所要動力は回転速度にほぼ比例して変化する。
- b二乗低減トルク負荷では回転速度を下げたときの所要動力の減少が大きいため、可変速運転による省エネルギー効果が大きい。
- c巻取機は張力を一定に保つ運転を行うと、巻径の変化に応じてトルクと速度が反比例的に変化し、所要動力がほぼ一定となる定出力負荷として扱われる。
- d巻上機やコンベヤは、荷重に応じたトルクが回転速度によらずほぼ一定となる定トルク負荷である。
答えと解説を見る
正解:a. 送風機やポンプは定トルク負荷であり、所要動力は回転速度にほぼ比例して変化する。
送風機やポンプは流体機械であり、負荷トルクが回転速度の 2 乗に、所要動力が 3 乗にほぼ比例する二乗低減トルク負荷である。したがって定トルク負荷で動力が速度に比例するとする記述は実際と異なり誤りである。巻上機やコンベヤは荷重で決まるトルクが速度によらずほぼ一定の定トルク負荷、巻取機は張力一定運転で定出力負荷として扱われる。二乗低減トルク負荷は減速時の動力低減が大きく、可変速化の省エネルギー効果が大きいことも正しい。
この問題のページ:電動機で駆動される機械負荷のトルク特性に関する記述として →
問31線形時不変系の伝達関数の定義として、正しいものはどれか。
- a入力信号を時間で微分した量に対する、出力信号の比
- b定常状態における出力と入力の比であり、入力の周波数によらず一定となる値
- cすべての初期値をゼロとしたときの、出力信号のラプラス変換を入力信号のラプラス変換で除したもの
- dすべての初期値をゼロとしたときの、入力信号のラプラス変換と出力信号のラプラス変換との積
答えと解説を見る
正解:c. すべての初期値をゼロとしたときの、出力信号のラプラス変換を入力信号のラプラス変換で除したもの
伝達関数は、系のすべての初期値をゼロとしたうえで、出力のラプラス変換 Y(s) を入力のラプラス変換 X(s) で除した G(s)=Y(s)/X(s) と定義される。両者の積とする記述は、比と積を取り違えたもので誤り。入力の時間微分に対する比とする記述は微分要素という特定の要素の説明にすぎず、一般の定義ではない。定常状態での比で周波数によらず一定とする記述は単なるゲイン定数の説明であり、s の関数として動特性を表すという伝達関数の性質と矛盾するため誤りである。
この問題のページ:線形時不変系の伝達関数の定義として →
問32伝達関数が G(s)=5/(1+0.2s) で表される一次遅れ要素に、大きさ 2 のステップ入力を加えた。このときの出力の最終値と時定数の組合せとして、正しいものはどれか。
- a最終値 10、時定数 0.2 s
- b最終値 5、時定数 0.2 s
- c最終値 2、時定数 0.2 s
- d最終値 10、時定数 5 s
答えと解説を見る
正解:a. 最終値 10、時定数 0.2 s
一次遅れ要素 G(s)=K/(1+Ts) では、ゲイン K=5、時定数 T=0.2 s である。ステップ入力に対する出力の最終値は入力の大きさとゲインの積であり 2×5=10 となる。時定数は分母の s の係数そのもので 0.2 s であり、出力は t=T で最終値の約 63.2 % に達する。最終値を 5 や 2 とするのはゲインと入力の大きさの一方だけを見た誤り、時定数を 5 s とするのは 1/T にあたる値を時定数と取り違えたものであり誤りである。
この問題のページ:伝達関数が G(s)=5/(1+0.2s) で表される一次… →
問33前向き伝達関数が G=5、帰還要素の伝達関数が H=0.2 である負帰還制御系の閉ループ伝達関数の値として、正しいものはどれか。
- a2.5
- b4.2
- c5.0
- d1.0
答えと解説を見る
正解:a. 2.5
負帰還制御系の閉ループ伝達関数は G/(1+GH) で与えられる。GH=5×0.2=1.0 であるから、閉ループ伝達関数は 5/(1+1.0)=2.5 となる。5.0 は帰還の効果を無視した前向き伝達関数そのものであり閉ループの値ではない。1.0 は一巡伝達関数 GH の値にすぎない。4.2 は分母を 1+H=1.2 として 5/1.2 と計算したものに相当し、一巡伝達関数を用いるという基本式に反するため誤りである。
この問題のページ:前向き伝達関数が G=5、帰還要素の伝達関数が H=0.2… →
問34ブロック線図において、伝達関数 G1=4 の要素と G2=0.5 の要素が直列に接続され、この直列部分と並列に伝達関数 G3=3 の要素が接続されている。入力から出力までの合成伝達関数の値として、正しいものはどれか。
- a5.0
- b6.0
- c2.0
- d7.5
答えと解説を見る
正解:a. 5.0
直列結合の合成伝達関数は各要素の積であり G1G2=4×0.5=2 となる。並列結合は各経路の和であるから、合成伝達関数は 2+3=5.0 である。7.5 は 4+0.5+3 のようにすべてを和として扱った値、6.0 は 4×0.5×3 のようにすべてを積として扱った値であり、直列と並列の合成則を取り違えているため誤り。2.0 は並列に接続された経路を無視して直列部分だけを求めた値であり、合成伝達関数としては不完全で誤りである。
この問題のページ:ブロック線図において、伝達関数 G1=4 の要素と G2=… →
問35伝達関数が G(s)=1/(1+0.05s) で表される一次遅れ要素の周波数応答について、折点角周波数とそのときの特性の組合せとして正しいものはどれか。
- a折点角周波数は 20 rad/s で、そのときのゲインは約 −3 dB、位相は −45° である。
- b折点角周波数は 20 rad/s で、そのときの位相は −90° である。
- c折点角周波数は 0.05 rad/s で、そのときの位相は −90° である。
- d折点角周波数は 5 rad/s で、そのときのゲインは 0 dB、位相は −45° である。
答えと解説を見る
正解:a. 折点角周波数は 20 rad/s で、そのときのゲインは約 −3 dB、位相は −45° である。
一次遅れ要素 G(s)=1/(1+Ts) の折点角周波数は ω=1/T であり、T=0.05 s なので 20 rad/s となる。この角周波数では G(jω)=1/(1+j1) となるので、ゲインは 1/√2≒0.707 すなわち約 −3 dB、位相は −45° である。位相 −90° は角周波数を十分高くしたときの漸近値であって折点では成立しないため誤り。0.05 rad/s とするのは時定数の値をそのまま角周波数と取り違えたもの、5 rad/s・0 dB とするのも 1/T と一致せず誤りである。
この問題のページ:伝達関数が G(s)=1/(1+0.05s) で表される一… →
問36制御系のボード線図に関する記述として、誤っているものはどれか。
- a積分要素 1/s のゲイン特性は、−20 dB/dec の傾きをもつ直線となる。
- b積分要素 1/s の位相は、角周波数によらず −90° で一定である。
- c一次遅れ要素の位相は、角周波数をいくら高くしても −45° より遅れることはない。
- d比例要素 K のゲインは角周波数によらず一定で、位相は 0° である。
答えと解説を見る
正解:c. 一次遅れ要素の位相は、角周波数をいくら高くしても −45° より遅れることはない。
一次遅れ要素の位相は低周波で 0°、折点角周波数でちょうど −45°、さらに角周波数を高くすると −90° に漸近する。したがって −45° より遅れないとする記述は実際と異なり誤りである。積分要素はゲイン特性が −20 dB/dec の直線となり、位相は角周波数によらず −90° 一定、比例要素はゲインが一定で位相が 0° であって、これらはいずれもボード線図の基本要素の特性として正しい記述である。
この問題のページ:制御系のボード線図に関する記述として →
問37二次遅れ系の減衰係数(制動比)ζ とステップ応答の関係に関する記述として、誤っているものはどれか。
- aζ が 1 に等しいとき臨界制動となり、振動することなく最も速く定常値に近づく。
- bζ が 0 のとき、ステップ応答は減衰せずに持続振動となる。
- cζ が 0 より大きく 1 より小さいとき、ステップ応答は行き過ぎ量を伴う減衰振動となる。
- dζ が 1 より大きいとき、ステップ応答は減衰振動となり行き過ぎ量を生じる。
答えと解説を見る
正解:d. ζ が 1 より大きいとき、ステップ応答は減衰振動となり行き過ぎ量を生じる。
ζ が 1 より大きい状態は過制動であり、ステップ応答は振動せず、行き過ぎ量も生じないまま緩やかに定常値へ近づく。したがって減衰振動になり行き過ぎ量を生じるとする記述は誤りである。ζ=0 では減衰項がなく持続振動、0<ζ<1 では行き過ぎを伴う減衰振動、ζ=1 では臨界制動となって振動せずに最短で定常値に近づくというのが二次遅れ系の標準的な性質であり、これらの記述は正しい。
この問題のページ:二次遅れ系の減衰係数(制動比)ζ とステップ応答の関係に関… →
問38ある制御系の特性方程式が s³+2s²+3s+K=0 で与えられている。この系が安定となるための定数 K の範囲として、正しいものはどれか。
- aK>6
- b0<K<6
- c0<K<3
- dK>0 であればよい
答えと解説を見る
正解:b. 0<K<6
三次系 a₃s³+a₂s²+a₁s+a₀=0 が安定であるためには、全係数が同符号で正であること(K>0)に加え、a₂a₁>a₃a₀ すなわち 2×3>1×K が必要である。したがって K<6 となり、安定範囲は 0<K<6 である。K>0 だけでよいとする記述は中間の条件を欠いており、K が 6 以上ではラウス数列の要素が負となって不安定になるため誤り。0<K<3 は安定範囲を不必要に狭めた値、K>6 は不安定域そのものであり誤りである。
この問題のページ:ある制御系の特性方程式が s³+2s²+3s+K=0 で与… →
問39フィードバック制御系の安定余裕に関する記述として、誤っているものはどれか。
- aゲイン余裕は、一巡周波数伝達関数の位相が −180° となる角周波数において、ゲインが 0 dB からどれだけ下にあるかで表される。
- b位相余裕は、一巡周波数伝達関数のゲインが 1(0 dB)となる角周波数において、位相が −180° に対してどれだけ余裕があるかを表す。
- cナイキスト線図上で一巡周波数伝達関数の軌跡が点 (−1, j0) に近づくほど、系の安定度は低下する。
- dゲイン余裕および位相余裕がともに小さいほど系の安定度は高くなり、応答の行き過ぎ量は小さくなる。
答えと解説を見る
正解:d. ゲイン余裕および位相余裕がともに小さいほど系の安定度は高くなり、応答の行き過ぎ量は小さくなる。
ゲイン余裕と位相余裕はいずれも安定の余裕を表す指標であり、値が大きいほど安定度が高く、小さいほど不安定に近づいて応答は振動的になり行き過ぎ量も大きくなる。したがって余裕が小さいほど安定度が高いとする記述は逆であり誤りである。位相余裕をゲイン交差角周波数における位相と −180° との差、ゲイン余裕を位相が −180° となる角周波数でのゲインの 0 dB からの余裕とする定義、およびナイキスト線図の軌跡が (−1, j0) に近づくほど安定度が低下するという記述は正しい。
この問題のページ:フィードバック制御系の安定余裕に関する記述として →
問40PID 制御の各動作に関する記述として、誤っているものはどれか。
- a比例動作だけの制御では、ステップ状の外乱に対して定常偏差(オフセット)が残る。
- b微分動作は偏差の変化速度に応じて操作量を与えるため、応答の速応性を改善し行き過ぎ量を抑える働きがある。
- c比例ゲインを大きくするほど定常偏差は小さくなり、それに伴って系の安定度も必ず高くなる。
- d積分動作を加えると定常偏差を除去できるが、応答が振動的になりやすい。
答えと解説を見る
正解:c. 比例ゲインを大きくするほど定常偏差は小さくなり、それに伴って系の安定度も必ず高くなる。
比例ゲインを大きくすると定常偏差は小さくなるが、一巡ゲインが増えて位相余裕が減少するため安定度はむしろ低下し、応答は振動的になりやすい。したがって安定度も必ず高くなるとする記述は誤りである。比例動作だけではオフセットが残ること、積分動作がオフセットを除去する一方で振動的になりやすいこと、微分動作が偏差の変化速度に応じて先取り的に働いて速応性の改善と行き過ぎの抑制に寄与することは、いずれも PID 制御の基本的性質として正しい。
この問題のページ:PID 制御の各動作に関する記述として →
問41フィードバック制御系において、調節部の出力として操作部を通じ制御対象に加えられ、制御量を目標値に近づけるように変化させられる量を何というか。
- a操作量
- b動作信号
- c目標値
- d制御量
答えと解説を見る
正解:a. 操作量
フィードバック制御では、目標値と主フィードバック量の差である動作信号を調節部が受け取り、その結果として操作部から制御対象へ加えられる量が操作量である。制御量は制御対象の出力のうち制御の目的となる量であって、操作される側ではなく制御される側の量であるため該当しない。目標値は制御量が従うべき値、動作信号は目標値とフィードバック量との差にすぎず、いずれも制御対象に直接加えられる量ではないため誤りである。
この問題のページ:フィードバック制御系において、調節部の出力として操作部を通… →
問42比例ゲイン 9 の比例調節部と、ゲイン 1 の制御対象からなる単位フィードバック制御系がある。目標値を 100 のステップ状に変化させたとき、定常状態で残る偏差の値として最も近いものはどれか。
- a11
- b10
- c5
- d20
答えと解説を見る
正解:b. 10
単位フィードバックで一巡ゲインが K の比例制御系では、目標値 R のステップ入力に対する定常偏差は e=R/(1+K) となる。ここでは K=9×1=9 であるから、e=100/(1+9)=10 と求まる。分母を 20 とした場合に相当し一巡ゲインの扱いを誤っている。11 は 100/9 に近い値で、分母に 1 を加えるという閉ループの効果を考慮していない。20 は K=4 の場合に対応する値であり、いずれも与えられた条件と一致しないため誤りである。
この問題のページ:比例ゲイン 9 の比例調節部と、ゲイン 1 の制御対象から… →
問43シーケンス制御とフィードバック制御に関する記述として、誤っているものはどれか。
- aフィードバック制御によれば、外乱や制御対象の特性変化が制御量に及ぼす影響を軽減することができる。
- bシーケンス制御は制御量を常時検出して目標値と比較しているので、外乱が加わってもその影響を自動的に補正できる。
- cフィードバック制御は、制御量を検出して目標値と比較し、その偏差に基づいて操作量を決定する閉ループ制御である。
- dシーケンス制御は、あらかじめ定められた順序に従って制御の各段階を逐次進めていく制御である。
答えと解説を見る
正解:b. シーケンス制御は制御量を常時検出して目標値と比較しているので、外乱が加わってもその影響を自動的に補正できる。
シーケンス制御は、あらかじめ定めた順序どおりに各段階を進める制御であり、制御量を常時検出して目標値と比較する機構を本質的にもたない開ループ的な制御である。したがって外乱の影響を自動的に補正できるとする記述は誤りである。制御量を検出して目標値との偏差から操作量を決めるのがフィードバック制御であり、この閉ループ構成によって外乱や制御対象の特性変化が制御量に与える影響を軽減できるという記述は正しい。
この問題のページ:シーケンス制御とフィードバック制御に関する記述として →
問44かごの質量 1000 kg、積載質量 600 kg、つり合いおもりの質量 1300 kg のエレベータがある。定格速度 2 m/s で上昇させるとき、電動機に必要な出力の値[kW]として最も近いものはどれか。ただし、機械効率を 70 %、重力加速度を 9.8 m/s² とし、ロープの質量は無視する。
- a8.40 kW
- b5.88 kW
- c12.0 kW
- d44.8 kW
答えと解説を見る
正解:a. 8.40 kW
つり合いおもりがあるため、電動機が負担するのは不平衡分の質量である。(1000+600)−1300=300 kg が不平衡質量となる。これを 2 m/s で引き上げる機械動力は 300×9.8×2=5880 W であり、効率 0.7 で除して 5880/0.7=8400 W=8.40 kW を得る。5.88 kW は効率を考慮していない値、12.0 kW は効率を約 0.49 とした場合に相当する。44.8 kW はつり合いおもりを差し引かず全質量 1600 kg で計算した値であり、いずれも条件に合わないため誤りである。
この問題のページ:かごの質量 1000 kg、積載質量 600 kg、つり合… →
問45電動機と負荷を合わせた慣性モーメントが 8 kg·m² の系がある。電動機の発生トルクを 60 N·m 一定、負荷トルクを 20 N·m 一定とするとき、静止状態から 400 min⁻¹ に達するまでに要する時間の値[s]として最も近いものはどれか。
- a8.38 s
- b12.6 s
- c4.19 s
- d16.8 s
答えと解説を見る
正解:a. 8.38 s
加速に使えるトルクは電動機トルクから負荷トルクを差し引いた 60−20=40 N·m である。到達角速度は ω=2π×400/60≒41.9 rad/s なので、加速時間は t=Jω/Ta=8×41.9/40≒8.38 s となる。4.19 s は加速トルクを 80 N·m とした場合、16.8 s は負荷トルクを差し引きすぎて加速トルクを 20 N·m とした場合に相当する。12.6 s は加速トルクを約 26.6 N·m とした場合の値であり、いずれも条件と一致しないため誤りである。
この問題のページ:電動機と負荷を合わせた慣性モーメントが 8 kg·m² の… →
問46伝達関数が G(s)=10/(1+0.5s) で表される要素に、角周波数 2 rad/s の正弦波入力を加えたときのゲイン(出力振幅と入力振幅の比)の値として最も近いものはどれか。
- a5.00
- b10.0
- c7.07
- d8.94
答えと解説を見る
正解:c. 7.07
周波数伝達関数は s に jω を代入して G(jω)=10/(1+j0.5ω) となる。ω=2 rad/s では分母が 1+j1 となり、その大きさは √(1²+1²)=√2≒1.414 である。したがってゲインは 10/1.414≒7.07(このとき位相は −45°)と求まる。10.0 は ω=0 における直流ゲインであって 2 rad/s での値ではない。5.00 は分母の大きさを 2 と誤った値、8.94 は分母を √1.25 とした ω=1 rad/s のときの値であり、いずれも条件と合わないため誤りである。
この問題のページ:伝達関数が G(s)=10/(1+0.5s) で表される要… →